俳句

2024年9月の俳句

田中一村が23歳の時に描いた雁来紅(葉鶏頭)。 ※写真は展覧会の図録より 奇怪さも魅力でありて雁来紅 季語:雁来紅 鳥の来て 真赭の薄(まそほのすすき) たはみをり 季語:芒・薄、真赭の薄 真赭の薄とは赤みを帯びた薄のことです。 山梨県北杜市にて岩肌…

2024年8月の俳句

西瓜喰ぶ六腑に水の行き渡るこう暑いと西瓜の水分のありがたやです。季語:西瓜。 焙じ茶の香に一息の夜の秋冷やした麦茶ではなく、なんとなく秋めいた夜には温かい焙じ茶が美味しいです。季語:夜の秋。 鯖雲の切れて終着駅に着く季語:鯖雲・鰯雲 地震(な…

2024年7月の俳句

これほどまで匙に手強きアイスクリーム 日に幾度も氷菓を胃の腑に落としをり新幹線の車内販売のアイスクリームの硬さは尋常じゃなかったですね。東海道新幹線は車内販売を止めましたので、もう食べられませんが。 こう暑くては冷たいものを欲します。 季語:…

2024年6月の俳句

麦の秋光りて十勝暮れきれず麦の一大産地である十勝の風景。畑一面黄金に輝いて夕刻はまだまだ訪れないような印象です。季語:麦秋。 枇杷熟れて光まぶしき安房の里千葉県も枇杷の産地。やはり枇杷色に染まって。季語:枇杷。 昼休み庭師の脱ぎし麦わら帽お…

2024年5月の俳句

葉桜の匂ふ墨堤そぞろ行く季語:葉桜。 溜池の底に常磐木落葉積(も)る季語は常磐木落葉(ときはぎおちば)は常緑樹の落ち葉の総称。初夏に新葉が生き始めると古葉が落ちます。夏落葉とも言います。 テーブルの真中華やぐカーネーション季語:カーネーショ…

2024年4月の俳句

日を受けて白さを返す花苺季語:花苺 鉄棒に春の深みて日の温み季語:春深し 繚乱のうねりは地まで雪柳季語:雪柳 筍掘り一鍬のこついかなるや季語:筍 亀鳴くや戦禍途絶へぬ地球ゆゑ季語:亀鳴く 亀は鳴かないとされていて空想の春の季語。藤原為家の「夫木…

2024年3月の俳句

啓蟄に誘はれ出でし旅の虫 何か買いたい啓蟄の街に出る陽気が良くなると旅のこと、購入欲も出てきますね。お金の掛かることよ…… 季語:啓蟄。 3/28日小石川植物園に花見吟行でした。曇り空で桜もまだまだでした。一輪とて見つけ華やぐ桜狩 園内の桜並木のソ…

2024年2月の俳句

紅梅や色をほぐしてひのふのみ「ひのふのみ」はひとつふたつみっつです。 季語:紅梅 野仏に青女衣をかけにけり季語:青女 霜や雪をふらすという女神。転じて霜や雪をさします。 北窓を開けて介護の深呼吸数年前宮城県塩釜に介護に通った日々。冬の間二階の…

2024年1月の俳句

父に習いネクタイ締めて成人式うちは息子だったので母親の出番はなし。逆に父親が嬉しげに教えていました。 季語:成人式。 千両や男系家族の殺風景 娘がいませんとお正月と言ってもどうもきらきらした華やかさが足りませんでした。せめて千両で彩りを。 季…

2023年12月の俳句

川船の波逆らはず浮寝鳥 数多なるカメラをよそに浮寝鳥季語:浮寝鳥。水に浮いたまま、首を翼の間に入れて眠っている雁や鴨などの水鳥です。冬によく見かける光景ですね。 手負い鶴届かぬ空を見上げをり季語:鶴 冬の朝ホットミルクの膜厚し季語:冬の朝 冬…

2023年11月の俳句

11/26に向島百花園に吟行に行きました。小雨降る今年一番の冷え込みでした。それより三句。 冬枯や盛りを偲び胡枝花洞(こしかどう) 胡枝花洞(こしかどう)は萩のトンネルのことだそうです。 季語:冬枯。 残り咲く一糸一糸の古典菊 季語:菊。 靄晴れて今…

2023年9月の俳句

抜かるるも良しと思へる良夜かな 良夜くる父母の待ちたるふる里に帰り道後ろの人に抜かれても悔しいと思わず(案外負けず嫌い)、名月であればゆっくり歩いて今宵の月を楽しんで。 もっと帰郷すれば良かったと後悔。 季語:良夜 名月の夜のことです。 夜食旨…

2023年8月の俳句

畏まる席に西瓜の食べにくし 白き腿に西瓜の種のほくろでき種の始末に困ります。やはり西瓜は縁側で食べ、種をぷいと飛ばすのが一番美味しい食べ方かと。季語:西瓜 乗鞍高原にて 頂上は夏雲のなか剣ヶ峰 季語:夏雲 遠きほど美しく(はしく)雄々夏の山 季…

2023年7月の俳句

強面の夜店の主ひよこ売る季語:夜店 あぶく爆ぜ声なき金魚の声かとも季語:金魚 帰耕してやっと出荷のメロンかな季語:メロン たおやかに老ひて傘寿の能登上布季語:上布 輪舞てふあめんぼの円雨の園 季語:あめんぼ

2023年6月の俳句

飴細工のイルカの跳ねて夜店の灯飴細工のあの技に見い入ったものですが、今やほとんど見かけらせませんね。季語:夜店。 風を吸ひ揉みて吐き出す夏柳細く若い木ですとそんな印象は薄いですが、大きな柳ですとこんな風景を目の当たりにします。季語:夏柳。 …

2023年5月の俳句

母の日に贈る似顔絵みな笑顔 季語:母の日漕ぎ急ぐ自転車籠にカーネーション 季語:カーネーション葉柳にほほ撫でられてさわら舟 佐原小江戸の川めぐり 季語:葉柳蝿帳にメモ添えられてオムライス 季語:蝿帳島根の旅にて 五月雨や八雲馴染めぬ松江かな 季語…

2023年4月の俳句

京都桜紀行より 散りてなほ 美しくおぼゆる 桜かな (ちりてなほ はしくおぼゆる さくらかな) お仲間の写真をお借りしました。 コメント欄にあげましたが推敲いたしました。 ぬきんずる大樹の桜一重八重人にあらず咲くも散るのも花次第 春で詠まれる「花」…

2023年3月の俳句

男子たる先づは目の行くひなあられ雛壇の内緒でさはる笛太鼓息子が従姉妹のお雛様を見ていた様子を思い出しました。季語:雛壇。 春泥を厭はぬ子らのすべり台。なぜか子供は水たまりや泥が好き。 季語:春泥。 土塊(つちくれ)の大あくびして春を吸ふ農家の…

2023年2月の俳句

二ン月や主張少なき月であり日にちも少ないせいか、春には遠く冬の続きで特に旅行もしないし。季語:二月。「にがつ」と詠むと字足らずになるので、そんなときは「にんがつ」と詠んで一文字稼ぎます。 春の星戦禍の闇にうすうすとウクライナを思います。季語…

2023年1月の俳句

輪切りして林檎の蜜の花咲かす蜜の花とも星とも言えますね。季語:林檎。 丈短しされど人参色を詰め土もののごぼうやねぎに比べると丈は短いですが色は濃いです。 季語:人参。 テレビニュース蜜柑むく指止まる ウクライナの戦禍をはじめ、その他の悲惨な事…

2022年11月の俳句

唐松の黄葉山の大団円唐松の黄葉は紅葉のフィナーレと聞きました。たしかに日光小田代ヶ原の唐松は見事でした。 季語:黄葉 ペンギンのふるさと遠し冬近し葛西臨海公園に吟行に行きました。10月の末でしたがその日は暖かな日でした。南極育ちのペンギンには…

2022年10月の俳句

草虱子ら付けあふてじゃれあうて子供の頃は原っぱの小径にいっぱい草虱(くさじらみ)がなっていて、わざわざ通ってセーターに付けてみたり、付け合ったり。取るのが大変でしたが。季語:草虱・藪虱。その頃「草虱・藪虱」なんてちゃんとした名称使っていな…

2022年9月の俳句

小さき菓子小さき器に地蔵盆 (ちさきかし・・・・)住んでいる町内では十数年前まではお囃子の音を流していましたが、うるさいと苦情が出たのか、無くなりました。所々にお地蔵様が祀ってあって、供え物があって、面倒を見ていてくれる人があることはありが…

2022年8月の俳句

小さき手をのばしふれたしサングラス抱かれた幼い子はママのサングラスが気になります。季語:サングラス。 ビッグブック見入る子らの目涼新た絵本読み聞かせはコロナ感染予防で大きな会議室でソーシャルディスタンスを守って行っていました。よく見えるよう…

2022年7月の俳句

炭酸の抜けてラムネの失恋歌 (たんさんの ぬけてらむねの しつれんか)失恋するとどうにもこうにもうつろ。季語:ラムネ。 夏痩せを老いた母より気遣はれ (なつやせを おいたははより きづかはれ)いくつになっても娘は娘。季語:夏痩せ。 腹這いに鰈のよ…

2022年6月の俳句

訪花への蝶道決めし黒揚羽 (ほうかへの ちょうどうきめし くろあげは)蝶の中でも特に揚羽蝶は飛翔の道筋を持ちそれを蝶道と言うそうです。花の蜜を求め、またメスとの出会いも含めての自分の道。季語:黒揚羽。 父の日や諭す言葉は胸の奥 (ちちのひや さ…

2022年5月の俳句

小間切れの眠り重ねて春の朝 (こまぎれの ねむりかさねて はるのあさ)2時間くらいづつで目が覚めます。それを繰り返して朝を迎えます。眠った感のない睡眠ですが、特に昼寝をしたいと思わないのです。これが続くと5時間ノンストップで眠れる日が来まして、…

2022年4月の俳句

4月半ばに浦賀に吟行に行きました。元住友重機械工業にお勤めでした俳句のお仲間ふうさんに案内いただき浦賀巡りです。当日は吟行のみで句会は後日に場所を変えて。お骨折り頂いたふうさんへの挨拶句。 浦賀ドッグふうさん語り春惜しむ (うらがどっぐ ふう…

2022年3月の俳句

せせらぎは渓の声とも水温む (せせらぎは たにのこえとも みずぬるむ) 渓谷の水音が春がきたよと告げているような。 季語:水温む。 明朗な園長の居てチューリップ (めいろうな えんちょうのいて ちゅーりっぷ) チューリップは幼稚園のお約束。必ずとい…

2022年2月の俳句

春寒し閉館となりミニシアター (はるさむし へいかんとなり みにしあたー)これもコロナ禍のせいでしょうか、いつの間にか閉館になっていたことに気が付きました。寂しい限りです。 季語:春寒し。 威嚇せしボス猿の口寒明くる (いかくせし ぼすざるのくち…